« マクロスF・F(フロンティア・ファイアー!!) 3 | トップページ | マクロスF・F(フロンティア・ファイアー!!) 5 »

マクロスF・F(フロンティア・ファイアー!!) 4

4.ホワット・バウト・マイ・スター~シェリル必殺、エボリューション踵落とし!~

―――振り向くな 何時だって 情熱の向かう先に、そこはきっと在る!―――

―――Baby どうしたい? 操縦…! ハンドルぎゅっと握ってもうSTAND BY―――

互いにファイターへと姿を変えた二機は、じゃれあうように空中を駆けあう。
太陽に向かって、地上めがけて、時に雲を突き抜けて。
後ろを取り合い、視界の取れない腹を取り合う陣地戦を展開する。

―――Do you want my heart &want my love! Noんもう!スウィングしてkiss…kiss…!―――

―――砕け散る星達よ 新しい光となれ 闇を照らせよ…!―――

地面に叩きつけられ、ガンポッドを破損したシェリルには、もはやピンポイントバリアによる格闘しか残されていない。
歌を楽しみ、駆け引きを楽しみながら、シェリルはしたたかにチャンスを狙っていた。

―――中途半端なスタイルはNO! ブッ飛んじゃってるLOVEならfor me―――

―――Long long time 恐れてただけさ 扉はもう開かれてるのさ 後は飛び込んじまえよ…!―――

放つ放つ放たれる。マイクロミサイルのように光の帯を引き放たれるサウンドウェーブの光。
それをかわさず、互いに受け止めるのが、今日の二人のやり方だ。
エネルギー変換装甲はサウンドエナジーをも許容して変換し、
試験機カラーの淡いブラウンのバルキリーを、燃える真紅に。
赤くどこまでも紅いバルキリーを、燃える陽光の金色に照らし、染め上げる。

―――How Beautiful! Excuse me! 欲したら ラララ…! Possibilities!―――

―――It's New Frontier!そうさ自分が ここに居ると 鐘を打ち鳴らせ! WOW WOO!―――

先ほどと大まかな形は変わらない。機体性能を凌駕した腕で、養父の機体はシェリルの先に立つ。
明らかに違うのは、シェリルの内面だ。
解って貰おうとか、優しく扱って欲しいというような甘えは、もう無しだ。
落とす気で、いやほぼ殺す気で迫る。一発当てれば勝ち?そもそもそれが自分の甘えに他ならない。
銃が無ければ拳で。拳が落とされたなら機体をぶつけて。そのつもりで迫らずに、この差をもしかしたらでも埋められるか…!?
第一、殺しても死なない男に、命の心配をしても徒労だと、昔からシェリルは良く心得ている。

―――(point) I don't care $(dollars) How much fake!―――

―――It's New Frontier! だからもっと 胸に火を点けろ 掛け替えの無いモノ 解き放つさ!―――

許容できずに装甲から飛沫を上げた光が、空に零れて天幕を作り出す。
それは二人のダンスステージ、真紅と金色のオーロラである。
砕け散る星屑の光の狭間を縫うように、互いの疾駆を定義しあう。
コブラ・バレルロール・スーパーインメルマンターン。
シェリルが試みるマニューバの更に更に上を行き、赤い翼はこちらに先導して飛ぶ。

―――.(point) ふたつにひとつ! but「愛」鳴らして…!What 'bout my star!―――

―――目を醒ませ 感じるさ オマエとこの宇宙が クロスしてると―――

聞こえる、聞こえてくる。彼の思い、感情が、帯引く光に乗って聞こえてくる。
お前を愛していると、
お前に指先ほども傷ついて欲しくないと、
しかし自由に、激しく生きて欲しいと、その思いが混ざって、旋律として伝わってきて…
シェリルは自らも、愛を歌声に乗せる。

―――What 'bout my star!What 'bout my star!What 'bout my star…!Uh…―――

―――歌声で 答えろよ この胸にお前のメロディー 響かせるから…―――

彼女は、What 'bout my star…このドキドキは、アタシを何処に連れてくの?と。
養父は、It's New Frontier…お前の目の前に、新たな地平があらん事を、と。
口下手な二人は、翼に歌を乗せる事でしか、真意を伝えられない。
つまらない意地を張らず、もっと早くにこうしておけば良かったな、と、シェリルは思った。
養父は養父、自分は自分だと思っていたのだ。関係無いと、別の存在である、と。
そんなワケが無かった。
いくら養父に引け目を感じたからって、一番大事な、自分と彼の歌を否定出来るワケが無かったんだ。

―――Darlin'近づいて 服従? NO YOU,NO LIFE ナンツッテ もう絶対!―――

―――Long long Way 一歩踏み出せよ 心を縛るスベテの物を 引き千切れば始まりさ RIGHTS!―――

あぁ、引き千切る、引き千切ってみせる。そうシェリルは思い、機体を木の葉のように舞わす。
赤いバルキリーを置いていく形で、急転進し、空を目指す。
言うまでも無く、格闘戦において、上方とは絶対有利位置だ。
急降下によるピンポイントバリアパンチで、あの翼を叩き落とす。
その為に、雲を突き抜ける…!

―――need your heart & need your love OH YES!! スウィートでKISS…―――

―――It's New Frontier! 其処が何処でも 構わないさ! 俺は俺のまま WOW WOO!―――

大気圏下における空戦は、空力の理解が戦術の大元を占める。
上昇性能、その限定された能力に着目して、かつての時代に作られたのが、
前進翼と呼ばれる赤いバルキリーの翼形である。
手の子指、親指のみを開いて飛行機の翼に見立てたような姿のそれは、
冗談事のようなその形からの予想を裏切り、通常の形状を遥かに超える風切りを見せる。
重力に逆らうための翼、それがVF-19に備わる力だ。
つまりは、シェリルは判断を誤ったのだ。
上昇性能においてのみ、VF-19は、YF-24に拮抗し得る…!

―――乗っかっちゃってる恋でもGO! もう一回なんてないからHAPPY!―――

―――It's New Frontier! だから遠く 宇宙の彼方へ お前の夢を今 飛び立たせろよ…―――

「イイイェアアアァアア―――!」
サウンドウェーブに乗って聴こえた養父のシャウトが、雲を突き抜け自分へ迫るのを自覚する。
………ウソでしょ!?何で追い付けるの…?
苛烈に自由に、雲海を突き抜けた赤い翼はそのままシェリルを追い越し、翼を振ってみせる。
ついて来いと言うのか、決着を付けようと言うのか!
ふざけるな!いつまでも子供扱いをして…!
「…絶対吠え面かかせてやる…!!」
空力?重力下特性?そんな物、知った事か!!
翼を限界まで畳み、ロケット宜しく機体を変じたシェリルは、もはや彼だけを見て、スロットルを全開に開ける。
オーロラ群から空へ、星が星を追って行く…!

―――no more chance! no rules! GETしたいから ラララ…! I all give it to you.―――

―――Bran new days… 今がその時さ…! 戻れない昨日を捨てたなら 見えない明日も忘れろ!―――

届け届け届け…!歌声よ、破壊の速度よ、思いのたけよ、全て余さずあの翼へ…!!
ジリジリと相対距離を縮める機体に、更なる無茶を要求する。
ピンポイントバリア高出力展開、機首をラム(衝角)にして、思い切りぶつける…!
「シェリル、ソレデハサスガニ、彼ガ死ニマスゾ…」
ディディーは心配症だな…おじ様がこの程度で、死ぬワケ無いじゃない?
操作を続ける…展開!サウンドエナジーとは違う光が機首を覆い、突撃準備完了!
………出来るんでしょ、カワイコちゃん…!?もう少し付き合ってね…!

―――It's New Frontier! そうさ俺なら 此処にいるさ 鐘を打ち鳴らせ WOW WOO!―――

―――It's New Frontier! そうさ胸に…!―――

あと少し…500…400…300…200…あとほんの少しという処で、
YF-24は、エンジンを沈黙させた。
「…え?」
ガクガクと震え、ストールを起こした機体は、機首を180度回転させて、地上へと真っ直ぐ降下する。
「ウソでしょ…!」
「スロットル全開デ、バリアヲ高出力マデアゲタムチャノセイデスナ」
落ちる、真っ逆さまに、地上を目がけて加速する。
「…っ!!シェリルっ!?シェリル――!!」
彼の歌が止まり、赤いバルキリーが、自分の機体を追ってくるのが見えた…

「オイ馬鹿!シェリルっ!!脱出しろ!!…聴こえてんのかぁ!!」
「いや…!」
「はぁ…!?オマエ、何言ってんだ!死んじまうぞ!!」
「イヤよ!だって…アタシの歌は、まだ終わっていないもの…!」

―――3.Hey, I count down…―――

相対距離は遅々として埋まらず、不吉なカウントダウンは始まる。
もはや歌手で無く、父親としてシェリルを追う彼は、焦りと共に、段々と開く距離を見つめるより他に無かった。

―――2.Are you ready…?―――

ノイズと共に、基地からノイマンの通信が入る
「シェリルさん、状況は理解しています…加速器が止まっても、変形機構、動作に影響はありませんね?」
歌いながら、沈黙で肯定を返す。
どうやらノイマンは、自分の試みに気付いているらしいと見えた。
「基地から見て太陽の方向…そこの渓谷に機首を向けて下さい!今日も良い風です!」
「勝って見せて下さい…私の青春時代に…!」
それを最後に、通信が途絶する。

―――1.覚悟はドウ…!?―――

覚悟か…どうなんだろう。
養父の泡を食った通信を聴きながら、やけに冷静な思考でシェリルは考えていた。
今からやる事は初めてだけど、やって出来ない事では無いと思う。
何より、一番見て欲しい人に、自分の全力を見てもらえるのだ。
それは凄く、ドキドキするな…そう思った。
そして。

―――0.I(私を)、鳴らして! What'bout my star…!―――

「…っ!!シェリルーーー!!!」
彼の叫びが虚しく響き、YF-24は、雲間に吸い込まれていった…

雲間を抜け、彼が最初に見たのは、黒煙噴き上げる凄惨な墜落現場…では無かった。
彼女の機体の影は、どこにも無い…否。
影はあった。そして、歌も。

―――叶えて You yield to me… 教えて Your true feeling…―――

―――叶えて You yield to me… 急かして! Impulsive date…―――

先の歌の続きが、シェリルの声で聴こえる。
彼は影の先を見る。即ち日の光、太陽の中に…
金色の陽炎を纏い、一つの黒点があった。
「…これぞ必殺、竜鳥飛び…!そして!!」
サウンドウェーブを通して伝わる声に呼応して、黒点は人型に変形して、彼に迫った。
重力を味方に、大リーガーよろしく片足を掲げて落下してくる。

―――Let me know what you want, I would give you…―――

―――How fantastic to be with you! My love!―――

「シェリル必殺、エボリューション踵落とし…!もってっけえぇぇぇぇーー!!!」
掲げられた踵は、あやまたずVF-19のど真ん中に着弾した…!

―――Let me know what you want, I would give you…―――

―――How fantastic to be with you! My love!―――

|

« マクロスF・F(フロンティア・ファイアー!!) 3 | トップページ | マクロスF・F(フロンティア・ファイアー!!) 5 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1152906/26935608

この記事へのトラックバック一覧です: マクロスF・F(フロンティア・ファイアー!!) 4:

« マクロスF・F(フロンティア・ファイアー!!) 3 | トップページ | マクロスF・F(フロンティア・ファイアー!!) 5 »